母とロビンソン

山奥の女子校に通っていたころ、初めて歌詞の稲妻に打たれました。

 

土曜日、午前中に学校が終わり帰宅。(ゆとり以前でまだ土曜日も授業あったんだよね)

 

昼ご飯を食べながら、ラジオを聴くのが好きでした。

10位から1位までのヒットチャートを紹介するラジオ番組。J-WAVAだったか、NACK5だったか…

 

そのある週の10位に、スピッツの新曲がランクイン。

 

初めて聴く『ロビンソン』というその曲を、群馬名物ソースカツ丼をもぐもぐしながら聴いていた矢先、衝撃的な歌詞にぶつかったのです。

 

1番のBメロ

“同じセリフ 同じ時 思わず口にするような

ありふれたこの魔法で 作り上げたよ”

 

当時、未熟な女子高生。

意中の異性と、同じセリフを同時に言ってしまうのは、なんだか気まずくてギクシャクする微妙な時間だと思っていたのですが…

それを「ありふれた魔法」だなんて!!ステキすぎる!!!

 

そう打たれたもつかの間、痛いほどキュンとするサビのメロディにヤラれ、さいご

 

「ルララ」って!

 

このタイミングで突如現れる「ルララ」に訳もわからずクラクラ。

 

だいたい「ロビンソン」ってなんなん!?

地名?人命?魔法の呪文?

 

インターネットのないあの頃は、疑問はいつまでも疑問のままで、どこまでも大きく膨れ上がっていくのでした。

 

曲が終わってフリーズしていると、母がふらりとやってきました。

(我が家は自営業で、併設している自宅とお店を母はよく行き来していたの)

 

お店で同じラジオ番組を聴いていたらしい母が

「さっきの曲、いい曲ねぇ!」

と、目をキラキラさせて言いに来たのです。

 

別段、音楽に強い興味があるわけではなかった母がわざわざ伝えにきたこと、同じ曲に共鳴できたことがうれしく、今でも鮮やかに覚えています。

 

生前、母と交わした、数少ない音楽にまつわる会話のひとつ。

 

その後『ロビンソン』は何週にも渡ってランクイン。至福の土曜日を何度も味わうことができたのです。

 

数年後、某歌詞検索サイトでお気に入りの歌詞フレーズを紹介するというお仕事をいただいたことがありました。

そこでも、記念すべき一曲目はこのBメロを書かずにはいられなかった。

 

同じ言葉を同じ時に言ってしまうことが、気まずいだけじゃなく、魔法にもなったりすることを知った大人の今も、やはり特別なフレーズです。

 

みなさんも、青春時代にやたら刺さった歌詞やメロディーがあるのでは。

 

わたしはこれから、久々に聴いてみます。

 あ、ちょうど土曜日の昼間♪

 

youtu.be