アカリとコトノハ

何気ない日常の一コマと、ときどき器。 

沼のほとりに立っている

あれはたぶん10年前くらい。
クリニックに併設されていたカフェでバイトしていたころのこと。

「嵐の二宮くん、いいっすよね〜」
と気軽に口にしたら、いつもクールでバリバリ仕事をこなす看護士の山ねーさんが
「ほんと!?ほんとうにそう思う!?」
ときらきらした目で迫ってきたのです。

「は、はぁ、最近映画観て、いいなーって思いまして……」
とごもごも答えたら
「ぜひコンサートに行って、嵐の素晴らしさをもっと知ってほしい!!一緒にいこう!!」
と山ねーさん。

そのときまで全く知らなかったけど、山ねーさんは生粋の嵐ファン。
リーダーの大野くんの担当(担当って!)だという。

ねーさんの熱意にほだされて、来月行われるという嵐のコンサートに行くことになりました。

当時、すでに人気アイドルグループになっていた嵐のコンサートチケットをとるのは至難の業。ファンクラブに入っているねーさんが、なんとかゲットした2枚のうち1枚を私に譲ってくれたのです。

そんな貴重な一枚を私が使っていいのかと尋ねたところ、
「ひとりでも多くの人に嵐の素晴らしさを知ってほしいからいいのよ♡」
とマリアの微笑み。

しかも、シングルのしかもサビの部分しか知らない初心者のわたしのために、コンサートでやるだろうと思われる曲をCD-R2枚に焼いて持ってきてくれるという初回サービスつき。
あれは完全なる布教活動だったと思う。


これはもう楽しむしかないと思い、そのCD2枚を聞きこんでコンサートへ参戦しました。

全部の曲を覚えきれたわけじゃなかったので、みんなと違うところでジャンプしちゃったり、まさかの転調にたじろいだりしたけど、とっても楽しかったな!

会場を埋め尽くす女の子たちは、みんな可愛くしてきていて、割れんばかりの歓声をあげながら、踊ったり歌ったりして幸せホルモン大放出☆
好きな対象がいるって、なんて素敵なんだと感じました。

しかし問題がひとつ。
私は二宮くんがいいと言って連れてってもらったくせに、感極まって泣いてしまった相葉くんに胸キュンし、コンサートが終わるまでにはすっかり心変わりをしてしまったのです。

こんな薄っぺらい気持ちで申し訳ないと思いつつ、帰り道、勇気を出してねーさんにカミングアウトしました。

「ねーさん、わたし、相葉くんがいいなと思っちゃいました。」

すると
「うんうん、そういうこともあるよね♡」

と、再びマリアの微笑み。
本気の愛が満ち溢れている!!!

その後バイトを辞めて以来、なんとなく疎遠になってしまったけど、ねーさんは元気だろうか。
近ごろ無償に会いたくなっています。

それはきっとこの本を読んだから。

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『浪費図鑑』 著:劇団雌猫

宝塚や舞台俳優やアイドルやディズニーランドや、いろんなものにドはまりして散在しているアラサー女子たちの告白集。
コンサートグッツやチケットや遠征費でお金がかかるのだとか。

中には30万とかすごい人は200万とか身銭を切っているひともいて、とてもスリリングで面白いかったー!!
しかもいくら散在しても誰も後悔していないのがかっこいい。
日本経済が美しく回っている姿を垣間見たような気がしました。

とはいえ……明日は我が身って感じ。

なぜって、わたしはいま、今更、ほんとうに今更、「週末ヒロイン・ももいろクローバーZ」にはまりそうなんですもの。

正直、ナゼアンナニ人気ガ??と思っていたけれど、先週アルバムを聴く機会がありまして……すっかり胸、いや魂を掴まれしまったのです。

あぁ、あの日の山ねーさんのように、私にももクロを布教してくれる方とお知り合いになりたい。
そして今は緑のあの子が好きだけれど、黄色のあの子に心変わりしてもやさしく受け止めてほしい。

とりあえず独学しようと、ももクロのPVやコンサート映像をYouTubeで観まくっていたら、スマホの速度制限かかっちゃった!
しかも、550円課金しないと10日間、制限かかったままだと脅迫されている。

もしこの550円を払ったら、あの本の女子たちのように、散財の沼に入ってしまうでしょうか。

たった550円だけれど、ここは払ってはいけないような気がして、何を閲覧するにもおっそいスマホを握りしめ、わたしはいま5色の沼のほとりに立ちすくんでいます。